「やってみたいことがある」
「でも何から始めたらいいか分からない」
「思っていることをまずは誰かに話してみたい」──
そんな「小さな相談」を持ち寄り、相談者さんの思いをてがかりにしながら、次の一歩を見つけていくのが sees table です。
これまでに3回の相談会を開き、地域の居場所づくり・文化財の活用・生態写真など、さまざまなテーマが持ち寄られました。
どの回も「小さな相談」から始まりましたが、相談者さんの経験や思いを手がかりに語り合うことで、次の一歩のヒントが少しずつ見えてきています。
ここからは、これまでに持ち寄られた相談を簡単にご紹介します。
気になるテーマがあればぜひあわせてご覧ください。
第一回の相談者さんは鳥取県出身。東京での勤務を経て木曽平沢に移住し、現在は伊那市新山に暮らしの拠点を移されました。
看護師として訪問医療や老健の現場に携わり、対話を大切にしたケアを実践してきた一方で、医療の枠を超えて「人の話を聞き、言葉にすること」にも関心を広げ、ライタースクール修了後は記事執筆の経験も。
「農と森のインキュベーション施設」という言葉に、自分は関わりが薄いのではないかと感じていた中、新しく始まったsees table の案内を見て、「ここなら自分の思いも話せるかもしれない」と感じ、参加してくださいました。
出産を控えた今、医療職としての働き方に加え、地域の中で自分の役割やこれからの活動をどのように形づくっていけるかを模索しています。
相談者さんが思い描くのは「まちの保健室」のように誰でも立ち寄れる安心の場。
その場には古本を媒介にした、新山の雰囲気を感じられる空間づくりを取り入れたいという希望もありました。
また、医療の仕事を続けつつ並行してもうひとつの居場所を持つこと、母としての日常を文章やイラストで表現すること、“何者でもないひと”がそのまま存在できる居場所づくりを実践してみたいという思いも語られました。
一方で、実現に向けてはさまざまな悩みがあります。
今回の対話を通じて、いくつかの小さなアクションの方向性が見えてきました。
今回の相談者さんは山梨県南アルプス市に在住で、現在は伊那市内の会社に勤務されています。
地域資源、とりわけ文化財の利活用を通じて、文化財の面白さを知ってもらいたい、地域に暮らす人々の日々の暮らしを豊かにしたいと考え、転職を決意。前職の山梨県庁では、文化財の発掘や、文化財を身近に感じてもらうためのノベルティ企画・各種イベント企画運営などを手がけて来られました。
行政の立場だからこそできる活動もある一方、民間との協働には限界を感じることもあったそうです。
相談者さんは、文化財を「守るもの」にとどめるのではなく「暮らしの中に取り入れる」ことを大切にしています。
「文化財をもっと身近に感じてもらいたい。表面的な関わりではなく、その面白さを知ってもらい暮らしを豊かにするような取り組みを広げたい。それが地域の文化財を守ることにも繋がる。」と語ります。
これまでにも、縄文土器の模様を用いたカップスリーブやマスキングテープ、老舗和菓子店とのコラボスイーツ、縄文ビール、どんぐりコーヒーなど、ユニークな企画を多数経験されています。
一方で、実現に向けては課題もあります。
さらに、伊那谷に残る縄文をはじめとした多くの文化財が十分に活かされていないことにも課題を感じています。商品企画やメニュー開発など利活用の可能性は多いと感じつつも、地域に通い始めたばかりでどう動けばよいかが見えずにいます。
まずは seesを拠点に小さく動き出してみることも、一つの可能性として挙がりました。
文化財や地域資源に関心のある方、商品企画やカフェとのコラボにアイデアを出してみたい方、ワークショップや体験の場づくりに関わってみたい方は、ぜひご一緒できればうれしいです。
今回の相談者さんは、幼少期から爬虫類や昆虫、樹木など多様な生き物に親しんでこられました。小学生の頃に沖縄で参加した自然ツアーをきっかけに、自然や生き物との関わりに強い関心を持つようになったそうです。
大学では森林生態学を学ぶ傍ら、カメラを手にしたことがきっかけで「生態写真」というアプローチに親和性を感じ、2025年から本格的に撮影活動をスタート。大学演習林を主なフィールドに、生物に触れることなく自然の姿をそのままに切り取る、生態写真ならではの表現に取り組んでいます。
相談者さんが目指しているのは、生態写真を通して人と生き物をつなぐこと。
「一人で撮るのも楽しいけれど、同じ関心を持つ人や熟練者とつながりたい。そしていずれは展示会などを企画し、多様な人と自然を共有する場をつくりたい」と語ります。
実現に向けては、いくつかの課題もあります。
seesという場を活かしながら、まずは小規模な挑戦から始めてみるアイデアも共有されました。
生態写真や自然写真に関心のある方、写真展やイベントづくりを一緒にしてみたい方、生き物や自然との関わりを写真で表現してみたい方──
sees table は、地域に根ざした小さな問いや思いを持ち寄り、仲間やヒントを探していく相談の場です。
アイデアの輪郭がぼんやりしていても大丈夫。むしろ、その曖昧さの中にこそ、次の一歩を見つけるヒントがあります。
これまでの会でも、
「話してみたら意外な視点をもらえた」
「自分の思いが整理できた」という声がありました。
相談する人も、耳を傾ける人も、それぞれの気づきを持ち帰れるのがこの場の魅力です。
「やりたいことがあるけれど、どう動けばいいかわからない」
「まだ形になっていないけれど、思いを言葉にしてみたい」
そんな気持ちを抱えている方は、ぜひ一度、sees table に参加してみてください。
あなたの思いが、新しいつながりや次の行動へのてがかりになります。
お問い合わせ先:inadani sees 運営事務局
mail:incubation@inadani-sees.jp
tel:0265-95-6086(営業時間 9:00 ~ 18:00、日曜・祝日は閉館)